溺れて、絆される
講義中―――――

英琉が講義を受ける姿を、チラ見する莉瑠。

「……/////」
(素敵…//////)

すると、前を向いている英琉の口がゆっくり動いた。
口パクで何か言っている。

「ん…?」

ま…え…み、て…

「………」

頬を膨らませて、ゆっくり前を向いた。


講義が終わり、次の講義室に向かう。

「―――――エルル」

「ん?」

「エルルは私のこと、どのくらい好き?」

「……………
どうしたの?急に」

「………」

「リルル?」

「ごめん、やっぱりいい…」
(私、何言ってるんだろ…)

「誰よりも好きだよ」

「………え…?」

見上げると、英琉が微笑み見下ろしていた。
英琉は、莉瑠にだけは優しく微笑む。

「物理的に表現出来ないから、分かりづらいだろうけど……
リルルは、俺の全てだよ」

「ありがとう!
フフ…嬉しい!」


次の講義を受けながら、英琉は莉瑠をチラリと見た。

“リルルは俺の全て”という言葉を受けたからか、安心したように講義を受けている莉瑠。

リルルは、不安なのだろうか。
俺の愛情は伝わってない?
こんなに好きなのに、どうしてリルルに伝わないのだろう。
…………俺がクールだから?
確かに、多くは語らない俺。

でもリルルには、精一杯想いを伝えているつもりだ。

リルルは、素直な女。

いつも真っ直ぐ、想いを伝えてくる。
講義は俺と同じ講義を取り、昼休みなどで友人に誘われても俺を優先する。

休日も、基本的には俺から離れない。

外出はいつも、俺と一緒。
家の中でも、視界に俺が入っていないと不安になるらしい。

だから俺は家のベランダで煙草を吸う時、必ずリルルの視界から見える所で吸うようにしているくらいだ。

まぁ、キッチンで料理中以外ほとんどベランダまでついてくるけど(笑)


「―――――んー!お腹すいたね〜」

「………」

昼休み。

ふと……思った。
俺が“今日は一緒にランチ出来ない”と言ったら、リルルはどうするのだろう。

「リルル」

「ん?今日は、何処で食べる?」

「ごめん、今日は一緒にランチ出来ない」

「………」
莉瑠がフリーズし、固まる。

「………」

「ど…して…?」

「洸介とちょっと会わないといけなくて…
TENの連中とも会うし、リルルは来ない方がいいから」

適当な理由を告げ「ごめんね」と謝る。

「………わか…た…」
ポツリと言って、トボトボと歩き出した莉瑠。

あまりの落ち込みように、さすがの英琉も罪悪感に包まれる。

英琉は罪悪感を抱えたまま、莉瑠にバレないように後をつけた。
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