溺れて、絆される
過保護
莉瑠は、英琉に対してかなり甘えん坊で依存している。

しかし―――莉瑠が依存しているというより、英琉が“依存させてる”という方が正しいのかもしれない。


ある日の夜。
一緒に、レポートを作成している二人。

「エルル、ちょっと休憩しない?」

「ん。そうだね」

立ち上がった莉瑠がコーヒーでも淹れてくれるのかと思いきや、着替えて戻ってきた。

「は?リルル?」

「ちょっと、コンビニ行ってくるね!」
ポシェットを肩にかけながら、玄関に向かおうとする莉瑠。

「リルル!!」

「え?」

「何やってんの?」

普段俺にべったりなのに、時々平気で夜遅くに一人で出ていこうとする。

英琉はこうゆう時、言葉にならないむかつきを感じる。

「え?え?どうして怒るの?」
黒い雰囲気に包まれている英琉を見て、怯えたように瞳を揺らした。

「え?なんで俺が怒ってるかわからないの?」

「う、うん…」

「こんな遅くに一人で出ていくなんて許さないよ?
しかも!そんな可愛い格好までして!」

「あ…ごめんなさい…」

「でもどうしてコンビニ?」

「プリン、食べたくて…」

「………わかった。
俺も行く」

英琉がスマホと煙草を持って、莉瑠の手を握った。
指を絡めて手を繋ぎ、自宅マンションから歩いて10分程の所にあるコンビニに向かう。

「エルル、着替えなくて良かったの?」

「着替える必要ない」

「いつもはコンビニに行くだけでも、着替えるでしょ?」

半袖上下ジャージ姿の英琉。
もちろん、カッコ良く着こなしている。
でもいつもの英琉らしくなくて、莉瑠は首を傾げる。

「リルルが“一人で”出ていこうとするからでしょ?
焦るに決まってる」

「寒くない?
まだ夜は冷えるでしょ?」

「寒くないよ。
最近は、温かくなってきたし。
リルルは細すぎるから、寒いんじゃない?(笑)」
不機嫌な英琉は、少し尖った言い方をした。

「なっ…/////」

「俺たぶん、リルルのこと片手で抱えられそうだもん!
洸介は、確実に片手でイケるって言ってたよ(笑)」

「酷い!
確かに、あまり太れない体質だから羨ましがられるけど…
私は私で、色々気にしてるのに!」

「フフ…ごめん、ごめん(笑)
でもリルルの身体、柔らかくて気持ちいい」

「え?」

「女性特有の柔らかさ?みたいなヤツ。
それに好きな女の身体だしね。
だからほら、俺、リルルを抱いてると止まらないでしょ?」

「た、確かに…//////」

英琉に抱かれている時のことを思い出し、顔を赤くする莉瑠だった。
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