溺れて、絆される
「…………な、ない…」
莉瑠お気に入りのプリンが売り切れていた。
 
「リルル、どうする?
違うプリンにする?」

「ううん…いらない…
ごめんね、エルル。せっかくついて来てくれたのに…」

「………じゃあ、駅まで行く?」

「え?でも…」

「食べたいんでしょ?
駅前のコンビニは頻繁に商品を補充してるから、売り切れること殆どない。
だから、プリンあるんじゃないかな?」

「いいの?」

「いいよ。
明日は大学休みだし、ゆっくり夜のデートしよ?」

莉瑠は嬉しそうに笑って、大きく頷いた。
さらに歩いて10分程で、駅に着いた。

「あった!」
「良かったね、リルル」

「うん!
エルルは?何か買う?」

「ううん。いらないよ」

レジに向かい、会計をする。
莉瑠がポシェットからスマホを出そうとしてると、ポケットからスマホを出した英琉が慣れた手つきでバーコード決済した。

「ほら、行くよリルル」

「へ?」

「もう、払ったから」

「あ…うん」

そしてコンビニを出た。
出てすぐに英琉が「煙草吸いたい」と言い、駅前の喫煙所に向かった。

灰皿の前に立つ英琉。
「エルル、向こうのベンチで待っててい?」

近くにあるベンチを指差す、莉瑠。
しかし英琉は「ダメ。ここにいて」と言った。

「え?心配しなくても、すぐそこだし…」

(だから!
なんで、離れようとするの?
いつも俺にべったりなんだから、こうゆう時もくっついててよ!)

「それでもダメ。
横にいて?」 
鋭い口調で言う。

莉瑠は頷き、英琉の隣で英琉を見上げた。
煙草に火をつけて莉瑠の反対側を向き、莉瑠にかからないように煙を吐く。
そして、煙草を咥えたまま莉瑠の手を握ってきた。
指を絡めて遊びだす英琉。

「リルルの手、小さいね」

「そう?」

「ほら見て!
俺の手なんか、リルルの顔くらいあるよ?(笑)」

「えー(笑)それは、大袈裟だよー」

「リルルは、俺が一生守る」

「…………え?え?
な、何、急に…!?」

「小さい頃から思ってたんだ」

「え?そうなの?」

「そうだよ。
ずっと好きだったから」

「そうなんだ!
フフ…なんだか、嬉しい…!」

「だからね。
あんま、一人で外に出たりしないで?」

「エルル…」

「俺が守ってあげるから」

そう言って、莉瑠の額にコツンとくっつけた。
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