milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜
ある日のバイト帰り。

バイトから上がって、家に着くころには20時前だった。


グゥ~…


帰りの電車の中から、わたしのお腹の虫が情けない声をもらし続けている。


「…お腹空いた」


早くなにか食べたい。

でも、家に帰ってなにかを作るのは…面倒。


それに、冷蔵庫の中にもあまり食材が入ってなかったような気がするし、なにかを作るなら買い物してから帰らなくちゃ。


こんなときは、カップラーメンで済ませたいところだけど――。

実は、昨日もバイトで帰るのが遅くなって、夜ごはんはカップラーメンで済ませた。


だから、さすがに2日連続というのは…。


――そのとき。


「あ〜、おいしかった」

「うん!それに、お店の雰囲気もよかったよね」


そんな声が聞こえて目を向けると、京町家の建物と建物の間の細い道から女の人が2人歩いて出てきた。
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