milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜
「ここがみひろちゃんのマンションか〜。ほんま、ウチから近いんだね」


遥さんは、わたしのマンションのエントランスを興味深そうに眺める。


「そうなんです。わざわざ送ってもらうのが申し訳ないくらいの距離で…」

「気にしんといて。ぼくが送りたかっただけだから」


そう言って、遥さんはわたしの頭の上にぽんぽんっと手を乗せた。


「みひろちゃん、またウチきてくれる?」

「…え?もちろんですよ、お気に入りのカフェですから。でも、どうしてそんなことを?」

「いやぁ…、ちょっとさっきいじめすぎちゃったかなって」


“いじめすぎ”…というのは――。


『なんなら、その声聞きたくて、もっといじめたくなっちゃう』

『…あっ。そこはダメです…、遥さん』


思い出しただけで、顔から火が出そうになる。
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