milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜
「ぼく、今日はちょっと酔ってるからさ。あんなことしちゃって…反省してる」

「いえ…、そんな」

「お詫びに、今度きてくれたときにナイショでサービスするね」


遥さんは口元で人差し指を立てると、わたしにウインクしてみせた。

そのかわいくも、どこか大人の余裕がうかがえるアクションに、わたしはドキッとしてしまった。



遥さんにとって、わたしなんてよくきてくれるお客の1人にすぎない。


だけど、雨の中抱き起こしてくれたり、お店に連れ帰って介抱してくれたり、家まで送ってくれたりなんかしたら――。

勘違いしちゃいそうになるから、…お願いですからやめてください。
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