milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜
遥さんと彼方さんはこの上に住んでいるのだそう。


遥さんがいなくなって、また彼方さんと2人きりに。


「あ…あの、彼方さん…」

「ん?どないした?」


彼方さんはマグカップに残っていたコーヒーを飲み干しながらわたしを横目に見る。


「さっきのこと…。遥さんには秘密にしておいてもらえませんか…?」

「さっきのことって?」


マグカップをテーブルに置く彼方さん。

その口元は緩んでいる。


「さっきって、俺なんかしたっけ?」

「なにかって…!…しましたよね?わたしたち…」

「したって?なにを?」


わたしの反応を楽しむように、彼方さんが上から視線を落とす。


この人…、わたしが言いたいことがわかっているのに…わざとこんな言い方してっ。


「もしかして、さっき俺とみひろちゃんがキ――」
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