milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜
店内には、わたしと彼方さんの2人だけ。


『こ…こんなところ、もしだれかに見られたらどうするんですかっ…』

『それなら大丈夫。『CLOSE』のプレートに替えたし、それにちゃんと鍵も閉めてるから』


彼方さんとは初対面で2人きりになったときあんなことになってしまったから、わたしは警戒している。


「そんな身構えんくても、なんもしいひんって」


なにかを察したのか、彼方さんがわたしをなだめるように笑いかける。


でも、その笑顔にも…騙されない!


「それやったら、俺が買い出しに行けばよかったな」

「べつに、そんなことは言ってません」

「だって、めっちゃ警戒してるやんっ」


そりゃ…あんなことがあって、何事もなく接するほうが難しい。

彼方さんは平然としているけど。


「ほな、とりあえずこれでテーブル拭いてって」
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