執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
実際は父より背が高く、体格もがっしりしていてスポーツマン体型だったが、そこまでヒントをあげる義理はない。

「芸能人で誰に似てるとか?」

「テレビはあまり観ないので。でも顔は格好よかったと思います」

美醜に疎い美都にでもはっきりわかるほど男前。だがまたしても漠然とした情報。

「ほかに特徴はない? ぱっちり二重とか、福耳だったとか」

「目は自然な感じだったのでなんとも。耳までは見えませんでした」

耳は髪に隠れていた気がする。黒い艶やかなミディアムヘア。綺麗な二重の目。記憶が鮮明になってきて、ふと思い出した特徴に口が滑った。

「そういえば、目の下に小さなホクロがあったような」

左目の目尻付近に、さりげないホクロ。

甘いマスクも相まって、セクシーというか、かわいいというか、チャームポイントに感じられるホクロだった。

「十二年前……帝東大三年生……警察官……長身……目の下にホクロ……」

杏樹は呪文のごとくぶつぶつと唱えながら、その男の情報を整理する。

ふと思いついたかのように顔を上げ、目をキラキラさせ始めた。

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