執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「俺はこだわりがない。美都が決めてくれ」

そうは言われても。困惑していると、オーナーが助け舟を出してくれた。

「獅子峰様のご自宅のインテリアを考えますと、ブラックにゴールドのアラベスク模様をあしらったシェヘラザードコレクションは好相性かと。今シーズンの新作としましては、ブラックにパッションカラーを合わせたバイカラーシリーズがあって――」

美都はふんふんと説明を聞く。やはりブラックを取り入れるのが無難なのだろう。

素直に自分の好みだけで選ばせてもらうなら――と視界の端でちらりと花柄の食器を眺める。

シンプルなホワイト地に淡いピンクの花柄。いやいや、かわいらしすぎるだろうと美都は小さく首を横に振った。

対になる淡いブルーもあるようだが、これを持つ哉明は想像できない

「このブラックとゴールドのシリーズがいいんじゃないでしょうか?」

美都が答えると、即座に哉明が言い返してきた。

「花柄が気に入ったんだな?」

ぎょっとして哉明を見つめる。

「あの……なぜ」

「視線を読んだ」

さらっと言いのけ、オーナーに「このシリーズを」とオーダーする。

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