執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
(いや……でも、ものすごく部屋のテイストに合わないような?)

いいのかなあと申し訳ない気持ちになりながら、哉明に腰を抱かれて店内を歩き回る。

それからも幾度か視線を読まれ、ピンクの花柄のクッションやマット、花瓶を買い足した。

「つまり、美都はこのピンクの花柄が気に入ったんだな」

(バレた……)

そっと目を逸らす。できればあからさまにかわいい色柄が好きだなんて知られたくなかった。

「こちら、当ブランド定番のフラワープリントなんです。気に入っていただけて光栄です」

オーナーがにっこりと微笑みかけてくる。

「インテリアの邪魔にならないといいんですが……」

「モノトーンとこちらの色柄でしたら相性がいいので問題ございませんよ。黒と白で引き締まった印象のお部屋ですから、奥様のご趣味がちょうどいいアクセントになると思います」

(奥様と言われてしまった……)

むずがゆい感覚が再び湧き上がってくる。

スタッフに手伝われ、購入した品を車に積み込み、店を出た。

「ほかに寄りたい場所はあるか?」

運転席でハンドルを握りながら哉明が尋ねてくる。

「いえ」

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