執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「なら、次はここでいいか」

自宅に戻るのかと思いきや、さらなる目的地に向かって車を走らせる。

哉明は同じ表参道近辺の駐車場で車を止めた。今度は有名な宝飾品のブランドショップに立ち寄るらしい。

ディスプレイには煌びやかなジュエリー。

やはりこちらも事前にアポイントを取っていたようで、哉明が店の前に立った瞬間、ブラックのスーツを纏ったスタッフが近寄ってきた。

「獅子峰様、お待ちしておりました」

さっきの店といいこの店といい、なぜ哉明はいつも顔が知られているのか。

(警察官だから……じゃないよね?)

もしかして家業の影響だろうか。日本で三指に入る有名な家電メーカーの社長令息なら、顔を知られていても不思議じゃないのかもしれない。

「お探しのものをご準備いたしましたので、こちらにどうぞ」

笑顔のスタッフに案内されたのは、接客用の個室だった。

ショーケースにはひと際ゴージャスなジュエリーが飾られ、カウンセリング用のテーブルにはとびきり大きなダイヤの乗ったリングが数種類用意されている。

「好きな婚約指輪を選べ」

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