執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
美都が仕事から帰ってくると、杏樹は揚々とした足取りで玄関に飛んできた。
(嘘でしょう……?)
あの少ない情報で彼を突き止めたと言うのか。なんという情報力、そしてなんという執着心。
(ううん、冷静になるのよ、私。本当にその人かどうかも怪しいし、人違いだと言い張ってしまえばそれまでだもの)
ゆっくりと深呼吸して心を落ち着かせる。
美都は二階の自室に荷物を置き、部屋着に着替えてリビングに向かった。
杏樹はソファに座ってそわそわしながら美都を待っている。ローテーブルの上には新たな釣書が置かれていた。
「顔を見て、すぐにこの人だと直感したの。間違いないわ。この人が美都ちゃんの恩人よね?」
杏樹の隣に座り、恐る恐る釣書を開く。
見開きに写真と経歴が載っていた。名前を見て、心臓が止まりそうになる。酸欠を起こしかけ、慌てて息を大きく吸った。
(……間違いない)
獅子峰哉明――一度耳にしたら忘れない、力強くも特徴的な名前。
もう二度と会うことはないと思っていたのに、まさかこんなところで、こんなかたちで会えるとは思ってもみなかった。
(嘘でしょう……?)
あの少ない情報で彼を突き止めたと言うのか。なんという情報力、そしてなんという執着心。
(ううん、冷静になるのよ、私。本当にその人かどうかも怪しいし、人違いだと言い張ってしまえばそれまでだもの)
ゆっくりと深呼吸して心を落ち着かせる。
美都は二階の自室に荷物を置き、部屋着に着替えてリビングに向かった。
杏樹はソファに座ってそわそわしながら美都を待っている。ローテーブルの上には新たな釣書が置かれていた。
「顔を見て、すぐにこの人だと直感したの。間違いないわ。この人が美都ちゃんの恩人よね?」
杏樹の隣に座り、恐る恐る釣書を開く。
見開きに写真と経歴が載っていた。名前を見て、心臓が止まりそうになる。酸欠を起こしかけ、慌てて息を大きく吸った。
(……間違いない)
獅子峰哉明――一度耳にしたら忘れない、力強くも特徴的な名前。
もう二度と会うことはないと思っていたのに、まさかこんなところで、こんなかたちで会えるとは思ってもみなかった。