執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
むくれて美都の頭をくしゃくしゃとかきまぜる。きゅっと毛布を巻いて縮まると、哉明は「猫みたいだな」と声をあげて笑った。

「猫、は言われたことがあります」

「それを言ったのは男か? 二度とそいつに近づくな」

「お義母さんですよ。ロシアンブルーみたいに凛としてるわねって」

「あの灰色のシュッとしたやつか。俺の中では黒猫だな。ツンとして全然懐かないやつ」

そう言って美都の真っ直ぐな黒髪を撫でる。髪の色もあって黒猫なのかもしれない。

「哉明さんは……ライオンみたいです」

大きな体にどっしりとした貫禄、精悍な顔立ち。ときにぎらついた目を見せるあたり、まさに百獣の王だと思う。

「お。同じネコ科でよかったな」

同じ分類でも大きさが随分違うけれど。ライオンが猫に発情したら、小っちゃな猫がなんだかかわいそう……いじめだ、そんなことを思い、ぶるっと身を震わせた。

「なんだか、つらい気持ちになってきました」

「は!? なにを想像してるんだお前は」

いわれのない非難に哉明が上半身を持ち上げる。丸くうずくまっている美都をぎゅっと抱き寄せた。

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