執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「俺をどんな男だと思っているのか知らないが、結婚するからには幸せにする」

彼の腕の中でぴくりと震える。その言葉が意外だったのと、目の前にある彼の胸板に驚いてしまったのと。

呆然としたまま、彼の胸にきゅっと頭を寄せる。この体勢もなんだか悪くない気がしてきた。なにより温かい。

彼の鼓動の音を聞いていたら、次第に眠気がやってきて、意識が遠のいた。疲れている上に、まだ朝の五時で、普段なら眠っている時間だ。

そんな美都に気づかない哉明は、引き続き決意を述べ続けている。

「――形だけの結婚にするつもりはない。なんだかんだ言ってきたが、俺は本気だし、これまでの言葉も全部本心だ。俺はお前を愛して――って、聞いてるか? おい、人が真面目に愛を語ってる最中に寝るなよ!」

哉明の本気のプロポーズは、残念なことに美都の耳には届かないまま終わった。




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