執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
トーストを食べていると、ふと美都が切り出した。

「もっと遅くまで寝ていてくださっても大丈夫ですよ? お食事ができあがったら起こしますから」

哉明まで一緒になって六時に起きるので、心苦しく思っているのかもしれない。

(俺としては、毎朝新妻の一生懸命な姿を眺められるのは、いい気分転換になるんだけどな)

と素直に言ったところで首を傾げられるのは目に見えているので、ごまかすことにした。

「単にヨガを見られたくないだけだろ」

「それはっ……だいたい、六時に起きて私のヨガを見ている必要なんてまったくないんです。夜だって遅いんですから、もっとゆっくり体を休めていただいて――」

「生憎、ショートスリーパーだから四時間寝られれば充分なんだ。朝は情報収集の時間にあててるから気にするな。ヨガを見るのはそのついでだ」

実際、携帯端末を片手に美都を眺めている。画面を見つめているより美都を見つめている時間の方が長いけれど。

「逆に提案させてもらうが、朝食の手を抜いて三十分眠っていた方がいいんじゃないか。あるいは夕食をデリバリーにして時間を捻出するとか。お前、いつも忙しそうにしてるだろ。もっと怠けたって罰は当たらない」

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