執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない

「理屈じゃないんですよ」

彼女は口もとを押さえ、上品に微笑む。

「当時は気づかなくても、再会すればきっと恋に落ちる。わたくし、哉明さんが美都ちゃんの運命の人だと信じているんです」

彼女の直感、なのだろうか? 返答をしかねていると、彼女は立ち上がり、深々と頭を下げた。

「父を餌にするような真似をして、申し訳ございませんでした。ですが、どうか一度娘と会っていただけないでしょうか。とても品行方正なよい子で、キャリア警察官でらっしゃる哉明さんにぴったりだと存じます」

「……わかりました。ですから、顔を上げてください」

過去に助けた真面目そうな少女――もちろん恋愛感情などないが、成長した姿は見てみたくもあった。

(あの小さかった子が二十七歳か……もうすっかり大人の女性だな)

どんな女性になっているか、想像もつかない。

「美都さんにお会いしてみます」

まずはそれからだ。結婚に踏み切るかどうかは、彼女を見てから決めればいい。

「それにしても。娘さんも一緒にいらっしゃればよかったのに」

そうすれば話が早かったのではないか。

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