執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
短時間に膨大な情報を処理するため、機材も大容量になってしまう。廃熱により放っておくと部屋がサウナ状態になるため、エアコンは常にフル稼働だ。

「例の件、進展はあったか?」

哉明が副隊長の柳川翔子に声をかける。二期下の女性でキャリア組、哉明とはFBIの研修施設で一緒だった。

まだ若く経験は浅いが、哉明の行動を先読みする頭脳を持っている。手取足取り動いてくれる優秀な部下だ。

「以前膠着状態です。企業側が金で解決させるのは時間の問題でしょう」

大企業を狙ったランサムウェアによるサイバー攻撃が今月に入って三件。いまだ犯人を特定できずにいる。

サーバーを乗っ取られた大企業は、解放と引き換えに多額の身代金を要求される。

データの漏洩や消失を恐れ、多くの企業はお金を払ってしまうのだが、それが犯罪を増長させている。

もちろん対外的に金銭の要求に応じたことは伏せられていて、報道こそされないが、こっそりと身代金を支払っているであろうことは、ITに詳しい人間であればわかるだろう。

「時間切れまでに尻尾は掴んでおきたいな。三件の規則性は?」

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