執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「類似のモジュールを使っている犯罪集団をピックアップしています。タイミング的にも十中八九彼らかと」

前方の巨大モニターにデータが表示される。

組織名『TSUBAME』――今年に入って勢力を伸ばし始めたクラッキング集団だ。革命を謳っており、日本のシステムの脆弱性に警鐘を鳴らすとかなんとか。

つまり、哉明率いるCITに喧嘩を売ってきている集団である。

「構成員と思しき人物の絞り込みに成功しています。あとは時間の問題です」

「悠長なことは言ってられない。上も焦ってる。四件目が起きたら、俺たちの首はないと思え」

「……特定を急ぎます」

哉明の威圧に柳川がごくりと息を呑んだのがわかった。

部下に無駄なプレッシャーを与えるつもりはないが、時間は有限だ。気を引き締めてもらわなければ困る。

「別件の捜査員を回せ。短期決戦だ。絞り込んだ人物、片っ端から徹底的に洗え。ひとり崩せば捜査が格段に楽になる」

「わかりました」

「俺はこれから特捜部長殿のもとへ報告に行く」

特捜部長と聞いて、柳川は眉間に皺を寄せた。

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