執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「警察庁に勤めるエリートなんですよね? 私とは釣り合わないと思いますし」
必死に言い訳を探す。なにしろ、美都は交際にすら縁遠い人生を送ってきたから、突然縁談と言われてもどうしたらいいのかわからない。
「家柄を気にしているの? その点は心配しないで。父の権力を存分に使わせてもらって、おいしい餌をたくさん撒くつもりだから」
きらきらした笑顔を振りまきながら、腹黒いことを言う。
杏樹は生粋のお嬢様である。杏樹の父親、つまり美都の祖父にあたる人物は高名な弁護士で、様々な業界の重鎮に繋がりを持っている。
あの少ない情報から獅子峰哉明を探し当てられたのは、そのコネクションのおかげだろう。
(家柄が不釣り合いといえば、一番はお父さんとお義母さんなのかもしれないけれど)
小さな印刷会社を経営する実父・喜咲隼都と、有名弁護士を父に持ちお嬢様として育った杏樹。
聞いた話によると、私立の小学校に通っていたふたりは、年の離れた幼馴染だったそうだ。
杏樹は幼い頃から隼都にぞっこんだったらしいのだが、隼都が先に結婚したものだから、ショックを受けて二十年間も独身でいたのだとか。
必死に言い訳を探す。なにしろ、美都は交際にすら縁遠い人生を送ってきたから、突然縁談と言われてもどうしたらいいのかわからない。
「家柄を気にしているの? その点は心配しないで。父の権力を存分に使わせてもらって、おいしい餌をたくさん撒くつもりだから」
きらきらした笑顔を振りまきながら、腹黒いことを言う。
杏樹は生粋のお嬢様である。杏樹の父親、つまり美都の祖父にあたる人物は高名な弁護士で、様々な業界の重鎮に繋がりを持っている。
あの少ない情報から獅子峰哉明を探し当てられたのは、そのコネクションのおかげだろう。
(家柄が不釣り合いといえば、一番はお父さんとお義母さんなのかもしれないけれど)
小さな印刷会社を経営する実父・喜咲隼都と、有名弁護士を父に持ちお嬢様として育った杏樹。
聞いた話によると、私立の小学校に通っていたふたりは、年の離れた幼馴染だったそうだ。
杏樹は幼い頃から隼都にぞっこんだったらしいのだが、隼都が先に結婚したものだから、ショックを受けて二十年間も独身でいたのだとか。