執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「結果を出すしかない。俺たちが早々に事件を解決すれば、あちらは潰すより利用することを考えるようになる」

さらに先を見れば、CITが評価され、独立した部になれば動きやすくなるのだが。

それが哉明の最終目標でもある。部長としての地位を築かなければ、自由な捜査は難しい。

「あちらも独自に捜査はしているでしょうに。あえて情報は開示しないでこちらの情報だけ吸い取って手柄を横取りするつもりでしょう」

「だからこそ出し抜けるってもんだ。あちらさんに流す情報をコントロールすればいい。騙そうと思えばいくらでも騙せる」

さらりと言いのけた哉明に柳川は、「獅子峰さんだけは敵に回したくありませんね」と表情を引きつらせた。

「行ってくる」

強かな笑みを浮かべて哉明は捜査本部を出た。



その日の夜、二十二時。玄関に出迎えがないと思ったら、美都は入浴中らしい。

哉明は自室でジャケットを脱ぎ、キッチンで水分を補給する。

夕食は餃子と野菜スープだったようだ。仕事から帰ってきて疲れているだろうに、手のかかる餃子を作るのだから頭が下がる。

「手を抜くことを知らないのか? あいつは」

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