執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
風呂上がりの一杯が想像以上に美味しかったのかもしれない、キラキラした目をグラスに向けている。

「これも一緒に食べるとうまいぞ?」

そう言って餃子をひとつ、美都の口に運ぶ。

咀嚼したあと間髪いれずハイボールを飲み、ごっくんと大きく喉を上下させた。

「おいしい」

「だろ?」

よほど気に入ったのか、美都がハイペースでグラスを開ける。

これはまずい。餃子とハイボールという中毒性の高いコンボを教え込んでしまった。飲んだくれたりしなければいいのだが。

さっそくアルコールが回ったのか、美都が頬を赤くしてふわふわし始めた。

少々行動がおかしい。手を上にあげて、にょーっと伸びをする。

まさに猫のようで思わず笑みがこぼれた。

「どうした?」

「今日はパソコン仕事が多かったので、体が固まっていて。血流が上がった今なら、ストレッチが効く気がして」

「いや、それ、むしろ危ないんじゃないか?」

飲酒してストレッチなんて、よろしいわけがない。

哉明は美都の背中に手を伸ばし、肩甲骨のあたりを指先で押してやった。美都の体がぴくんと反応する。

「軽くマッサージしてやるから、ストレッチはやめとめ」

「んっ……」

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