執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
よほど気持ちがよかったのか、美都が目を閉じて脱力する。

(思考を放棄したな)

しばらくは大人しく背中を向けていたが、肩のあたりを揉んでやるとふにゃりとして、ソファの背もたれに寄りかかった。

引き寄せると抵抗もせず、ころんと哉明の膝の上に転がる。

(おお…)

懐かなかった猫がとうとう膝の上に乗った。ある種の感動と達成感を覚える。

だが当の美都はかなり酔いが回っているようで、目が真っ赤でとろとろになっている。

「酒、弱いんだな」

飲まないから弱いのか、弱いから飲まないのか。

お腹を撫でても抵抗ひとつしないので、次第に心配になってきた。

「……大丈夫か?」

ふと急性アルコール中毒の不安が頭をよぎった。

しばらく経ってもへにゃへにゃのままの美都を抱きかかえ、自室のベッドに連れていく。

「おーい。美都? 生きてるかー?」

具合が悪いわけではないようで、顔色は良好だ。気持ちよさそうにむにゃむにゃ寝返りを打っているが、哉明の言葉に応答しないのがやや心配である。

「こんなの、怖ろしくて外じゃ飲ませられないな」

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