執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明がいない状況でこうなったら、悪い輩にいたずらされかねない。起きたら厳重注意しようと心に決めながら、キッチンにミネラルウォーターを取りに向かう。

「おい、美都。水を飲め」

声をかけるもやはり反応はない。仕方なく哉明は自身の口に水を含んで、口移しで飲ませた。

「ん……」

美都がわずかに唸る。こくりと喉が動き、無事に飲み込んだとわかった。

むせないように時間をかけて二口、三口と続けていき、グラスの水が少なくなったところで美都が目を開け「ふふふふ」と笑った。

「美都。起きてるのか? 水を飲め、楽になる」

しかし、美都はゆったりと微笑んだままで――まずこの表情が激レアなのだが――やがて哉明の目を見て、甘えるように囁いた。

「もっと、ください」

そう言ってねだるように目を閉じ、口を半開きにする。

「……実に質が悪いな」

絶対に外で酒を飲ませないよう強く、強く強く念を押しておこう、そう固く決意する。

「その顔、俺以外に見せるんじゃないぞ」

そうぼやきながら、最後の水を口に含み、美都に覆いかぶさる。

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