執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
せっかく一晩かけて落ち着いた体が、再び昂ってきた。仕事仕事、そう自身を律してシャワーに向かう。

(さすがに毎日酒を飲ませるのは……まずいか?)

さっそく今晩の予定に思いを巡らせている哉明である。今夜はワインと生ハムでも買ってきてやろうか、そんな悪い企みが頭をよぎった。



それから一週間後。

哉明は早朝に連絡を受け、急ぎ登庁した。

美都のヨガも見られずご機嫌斜めだ。

だがそれ以上の緊急事態が起きてしまったので仕方がない。

捜査本部に到着するなり、ひと足先に到着していた柳川がタブレット端末片手に蒼白になって報告する。

「警視庁のサーバーがクラッキング被害に遭いました」

よりにもよって警視庁が犯罪集団の手に落ちた。警視庁はもちろん、警察庁にとってもとんでもない失態だ。

「情報の漏洩は?」

「外部に接続されていないイントラ空間でしたので、幸いにも漏洩はありませんでしたが――」

「逆に言えば、内部犯ってことだろ、それ」

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