執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「進めています。現段階で三名に絞られました」

大型モニターに犯人と思しき人物の顔写真と名前、所属が表示された。

「……っ!」

その人物を見て哉明は声を失う。そっと口もとを押さえ、動揺をかみころした。

柳川が同期した端末を見ながら、ふたりの経歴を読み上げる。

「男性二名は、情報管理課に所属するサーバーの運用係ですか。もう一名の女性はシステム開発を担当している外部の業者の人間。……できれば関係者は女性の方であってほしいですね。現役警察官が犯罪集団に所属していたなんて、体裁が悪いどころの騒ぎでは――」

ふと顔をあげた柳川が哉明の様子を見て違和感に気づく。

「獅子峰さん?」

(嘘だろう……?)

喜咲美都――モニターに表示されている被疑者は、確かに彼女だった。



それから四時間。情報を精査した結果、美都に対する容疑は晴れるどころか増していくばかりだった。

当初、美都がなにも知らずに利用された体で調べを進めていたのだが。

「モジュールを詳しく解析してみたのですが……見てください」

柳川が手もとの端末を操作すると、正面の大モニターに検証結果が表示された。

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