執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
不思議な前置きに、美都は首を傾げながらも「はい」と応じる。

「喜咲さんの幸せを祈ってます。だけど、もしもこの先、彼氏さんを信用できなくなる日が来たら――」

大須賀はテーブルの上の美都の手に手を重ね、笑顔を押し込めて真剣な顔をした。

「僕を頼ってもらえませんか?」

大きく目を瞬いて大須賀を見つめる。

(どういう意味なのだろう?)

もしもの話というよりは、予言のように聞こえて、なんとなく怖くなった。

「……なぜそんなことをおっしゃるんですか?」

素直に尋ねると、大須賀は「それは……」と言い淀み目を逸らした。

哉明の影響だろうか、美都は相手の表情や仕草から気持ちを探ることを覚えた。

今の大須賀から読み取れるのは〝心苦しさ〟そして〝口にはできないなにか〟の存在だ。

「お相手の方はキャリア組なんでしょう? 一般の方とは考え方が違いますから」

「……そうですね。確かに。私とは違った価値観をお持ちの方です」

< 165 / 257 >

この作品をシェア

pagetop