執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
柳川はとうとう怒気を滲ませ「特別扱いしないって言ってましたよね?」と乱暴にソファに座った。

(なんだかコントみたいだ)

哉明と柳川は上司と部下以上に仲がよさそうだ。とくに柳川が美人だからだろうか、妙に哉明とお似合いに見えた。

だが今は、そんな悠長なことを考えている場合ではない。

「私にはなにかの疑惑がかけられているのですか?」

『被疑者』というワードが出たのを美都は聞き逃さなかった。大須賀の言うように、これは連行なのだろうか。

柳川は咳払いをして美都に向き直る。

「昨日、この庁舎のサーバー室で作業をされていましたね。そのときのことを詳しく伺いたいのですが」

「サーバー室というと……昨日の不具合対応でしょうか。既存のシステムに不具合が出て、新しいモジュールのリリース作業を行いました」

「そのモジュールというのは、あなたがサーバー室に持ち込んだのですか?」

「いえ。セキュリティ上、私はサーバー室に直接持ち込みができませんので、情報管理課の方にお願いして、遠隔でサーバーに配置してもらいました」

哉明と柳川が目配せする。

「その手順について、詳しく教えてください」

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