執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
(哉明さんが私と婚約してくれたのは、品行方正だったから。でも問題を起こすような女だと思われたら、私は無価値だ)
もしかしたら哉明の方から、婚約を破棄してほしいと頼んでくるかもしれない。
(それは……嫌)
胸がぎゅうっと押し潰される感じがして、背中を丸めた。
哉明に捨てられたくない、そばにいたい、妻でありたい、いつの間にかそんな欲が湧いていたと気づいて眩暈がした。
(私、こんなに哉明さんと結婚したいって思ってたんだ……)
愕然としたままオフィスに戻り、不安をごまかすように仕事をした。
その日、帰宅したのは十九時過ぎ。
とにかく手を動かさなければ落ち着かず夕食を作る。
料理の段取り以外は頭に入ってこないように、あえて手間のかかる料理を一品、二品、三品と作り上げていった。
気がつくと四人がけのダイニングテーブルではお皿が載りきらなくなっていて、広いローテーブルに移した。
牛筋煮込みに酢豚、グラタンにチャプチェ、根菜の煮物。どんどん大皿料理が完成していく。パーティーが開ける量。なのに哉明は帰ってこない。
もしかしたら哉明の方から、婚約を破棄してほしいと頼んでくるかもしれない。
(それは……嫌)
胸がぎゅうっと押し潰される感じがして、背中を丸めた。
哉明に捨てられたくない、そばにいたい、妻でありたい、いつの間にかそんな欲が湧いていたと気づいて眩暈がした。
(私、こんなに哉明さんと結婚したいって思ってたんだ……)
愕然としたままオフィスに戻り、不安をごまかすように仕事をした。
その日、帰宅したのは十九時過ぎ。
とにかく手を動かさなければ落ち着かず夕食を作る。
料理の段取り以外は頭に入ってこないように、あえて手間のかかる料理を一品、二品、三品と作り上げていった。
気がつくと四人がけのダイニングテーブルではお皿が載りきらなくなっていて、広いローテーブルに移した。
牛筋煮込みに酢豚、グラタンにチャプチェ、根菜の煮物。どんどん大皿料理が完成していく。パーティーが開ける量。なのに哉明は帰ってこない。