執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
大切な人とふたりでいる時間は幸せだ。

(……私はきっと、哉明さんを好きになってしまったんだ)

いつの間にか、かけがえのない存在になっていた。今さら別れようと言われたら、悲しくてどうしたらいいのかわからない。

涙が止まらないなんて、いつぶりだろう。母を亡くしたときに枯れ果てたと思っていたのに。

悲しみを押し殺せないまま、ソファに寝転がって顔を覆った。



どれくらい時間が経ったのだろう、リビングのドアが開く音で目が覚めた。

いつの間にか眠ってしまっていたらしく、美都は慌ててソファから起き上がる。

ひどく瞼が重たい。リビングの入口にはスーツ姿で呆然と佇む哉明の姿。

目が合った瞬間、哉明はハッとした顔でこちらに駆け寄ってきた。

「美都……!」

ソファに膝をつき、美都を力いっぱい抱きすくめる。

まだ頭がぼんやりとしている美都は、なぜ哉明が突然抱きしめてきたのか理解できなかった。

「あの……なんです?」

「そんな顔して、なに言ってんだ」

そう言われて初めて、瞼の重さが泣き腫らしたせいだと気づいた。

「不安にさせて悪かった」

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