執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
いつになく真剣な声で、美都を深く胸もとに押し込める。

ベッドの中でさえどこか余裕ぶっている彼なのに、こんな姿は初めてで動揺する。

「もっと早くに帰ってくるべきだった。心細い思いをさせていると、わかっていたはずなのに」

「哉明さんはなにも悪くありません。私が勝手に不安になっていただけで」

「あんな言われ方をされたら、不安になるに決まってるだろ」

腕の力は弱まらない。いっそう強く大切に抱きかかえられ、美都は「その件なんですが」と断りを入れ、彼を押しのけた。

「もし私との婚約が哉明さんのお邪魔になるようでしたら、破棄していただいてもかまいません」

冷静に言葉にできたのが奇跡だった。この言葉が哉明のためになる、哉明の心を救う、そう信じていたからかもしれない。

しかし、当の彼は「冗談じゃない」とやるせない声で吐き捨てる。

「俺は美都を幸せにすると決めた」

「それは私が妻としての条件を満たしていた場合の話で――」

「お前はまだ、俺が条件どうこうで一緒にいると思っているのか?」

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