執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
肩を揺さぶられドキリとする。美都を見下ろす情熱的なその目は、打算だけでは説明できないなにかが宿っていて――。

「……っ、来い」

そう言って哉明は立ち上がると、美都の手を引きリビングを出た。

「哉明さん……!?」

書斎の前で「待ってろ」と指示して部屋に入っていく。

一分と経たずに戻ってきた彼の手には、書類が握られていた。

「これを出しに行く」

そう言って掲げた書類は婚姻届。いつの間にか証人欄まで埋まっていて、あとは役所に提出するだけの状態になっていた。

「出しにって……今からですか?」

「婚姻届は二十四時間いつでも出せる」

「そういう問題ではなくて! まだ哉明さんのご両親への挨拶も済んでいませんし、ほかにも問題が山積みで――」

「両親については、結婚を決めたと伝えてあるから問題ない。むしろ父が用意した相手なのに、反対もなにもないだろ」

強引にそう言いくるめ、美都を玄関に連れていく。しかし――。

「待ってください!」

美都は腕を振り払い、足を止めた。

珍しく大きな声を出した美都に、哉明は驚いて立ち尽くす。

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