執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
一心に美都を見つめて、信じられないほど真っ直ぐに尋ねてくる。

「美都は? 俺を愛しているか?」

ごくりと息を呑み込んだ。

その答えを、哉明はきっと知っているのだろう。鈍感な美都もいい加減、自分の気持ちに気づいている。

「はい。愛しています」

答えると、涙が次から次へと溢れ出してとまらなくなった。

この思いが安堵なのか罪の意識なのか、美都にはよくわからない。

愛していると言ってもらえた喜びと、哉明の人生を台無しにしてしまうのではないか、そんな不安がまだ胸の内でせめぎ合っている。

でも、それでもふたりが幸せに結ばれる奇跡を信じたい。

哉明は涙を唇で受け止め、頬に触れた。

「結婚しよう。もう、異論はないな?」

「……はい」

くしゃりと顔を歪めて頷く。うつむく美都を、哉明はそっと抱きしめ包み込んでくれた。



もう時刻は二十三時を過ぎている。ふたりは車に乗り込み、エンジンをかけた。

「本当にこんな格好で、婚姻届を出しに行って大丈夫なんでしょうか」

美都は自身の格好を見下ろす。上はTシャツ、下はジャージ。

< 183 / 257 >

この作品をシェア

pagetop