執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
お目当ての雑誌を購入して帰宅。相変わらず哉明の帰りは遅そうだ。

夕食を終えシャワーを浴びた美都は、リビングのソファで水分補給をしながら雑誌を広げた。

トピックスには『二十代の愛され休日スタイル』『キスしたくなる艶リップコスメ』――気が動転して一度雑誌を閉じて目を瞑る。美都には少々刺激が強すぎた。

(逃げちゃダメ。ちゃんと研究しなくちゃ)

哉明の妻になったのだ。愛される女性でいるために、努力をしようと心に決めた。

意志を固め、ゆっくりとページを開く。アンニュイな表情のモデルたちが着こなす今どきファッションを考察する。

かっちりとしたオーバーサイズ気味のジャケットに、カジュアルスキニーを合わせて、ドレッシーなヒールを履いている。ちぐはぐもいいところでは? このコーディネートはどこを目指しているのだろうか。

何度か考えてはみたが、残念ながら美都にオシャレは理解できなかった……。

「あ、でも、このバッグは落ち着いていて、使い勝手がいいかもしれない。……え、十三万もするの?」

美都の給料では少々厳しい。再び雑誌を閉じ目を瞑る。

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