執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「安心しろ。柳川とは誓ってなにもない。そもそも職場恋愛なんてろくなもんじゃないしな」

「それは体験談ですか?」

思わず飛び出てしまった言葉に、慌てて口もとを覆う。哉明が呆れたように「お前なー」と嘆息した。

「……でも毎日隣に美人がいたら、気になるのでは? 一回くらい、そう思ったことがあるのでは?」

じっと哉明を見上げてそう尋ねる。

あまりにも強烈な視線に、さすがの哉明も「なんだ? そんなに睨んで」とたじろいだ。

「いえ。私も哉明さんの顔色を読んでやろうと」

「無駄だ。逆に今のお前の行動からあらゆる情報が読み取れるぞ? 俺のことが好きすぎて嫉妬――」

「やめてください。もういいです」

美都がぷいっと目線を逸らすと、いじめ過ぎたと反省したのか、哉明がずいっと体を寄せてきた。

「柳川の真似なんかするな。美都は美都だ」

「……哉明さんは、ショートとロング、どちらの女性がお好きですか?」

「似合っていればどっちだっていい」

「さらっと難しいことを言いますね」

自分にはどんな髪型が似合うのだろう。これまで、大きく髪型を変えたことがないからわからない。

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