執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
見せたいのはあなた――そんなニュアンスを込めて言うと、哉明が近づいてきてヨガ中の美都を抱きすくめた。

「か、哉明さん!」

「いじらしいな、お前」

「ちょ、やめてください、朝っぱらから」

嫌がるもおかまいなしでじゃれついてくる。「この白いうなじがいい」と首筋に唇を這わした。

「きゃ、哉明さんっ」

勢いあまって背後に転がり、ヨガマットの上で押し倒される。

「ヨガマットはこんな用途で使うものじゃありませんっ」

すっかり猛獣になってしまった哉明を押し戻す。

整えたかったはずの肉体と精神が、今日も乱れっぱなしだ。彼の妻である限り落ち着く日などないのかもしれない。

日課のヨガを終え朝食を作ると、哉明は今日もしっかりと完食してくれた。

空になったお皿を片付けながら充足感を覚える。

(こんな毎日が、ずっと続いてくれたらいい)

キッチンを片したあとスーツに着替え、軽く髪を留め直し家を出た。

ヘアアレンジについて、オフィスでの評価は上々で、鶴見なんかは「もっといいアレンジありますよ」とノリノリで指導してくれる。

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