執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
いずれも共通するのは、経済的に豊かそうな人間が多いという点だろう。

駅までの道のりを歩いていると、小走りで駆けてくる足音がした。

背後から「喜咲さん」と呼びかけられる。

振り向くと、そこにいたのは大須賀だ。手にはビジネスバッグ。どうやら帰宅中のようだ。

「お疲れ様です。庁舎を出たらちょうど喜咲さんが見えて、走ってきちゃいました」

荒くなった呼吸をならしながら、美都の隣を歩き始める。駅はすぐそこだ。

「お疲れ様です。大須賀さんも千代田線ですか?」

「あ、いえ。僕はあっちの南北線の方まで」

赤坂近辺は路線が密集していて、徒歩圏内にたくさんの駅がある。

しかし、南北線の駅にしては方向が違う気がして、美都は「ん……?」と首を捻った。

「向こうの道から行った方が近いのでは?」

「実は、寄り道したい場所がありまして」

大須賀はポケットから携帯端末を取り出すと、検索結果を美都に見せた。

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