執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
誘われてぐらりと心が揺れた。もらえるからというよりは、純粋にアレンジメントが好みだったのだ。

「いえ……そんな。プレゼントは申し訳ないので結構です。……ですが、お店自体には興味があります」

店の場所を確認しておけば、ひとりでも買いに来られる。

「じゃあ、ぜひ一緒に」

大須賀は大通りを逸れ、人の少ない住宅街に足を進める。表通りではなく、住宅街の真ん中にある花屋というのも珍しい。

「それにしても、喜咲さんがお花に興味のある人でよかったな」

「それは、どういう……?」

「結婚祝いは、もともと差し上げたいなと思っていたんです。なんていうか……僕の気持ち的に」

気持ちと言われてドキリとしたのは、以前『喜咲さんのこと、好きだったんです』と打ち明けられたからだ。柳川に連行されてうやむやになっていたが。

「いつまでも未練がましく引きずるのもよくありませんし。きちんとお祝いして送り出して、けじめをつけたかったんです」

凛と前を向く大須賀を見て、安心すると同時に清々しい気分になる。

「大須賀さんは真面目な方ですね」

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