執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
突然、大須賀が背後に回り込み、美都の首を締め上げるように腕を絡めてきた。
驚いて端末が手から滑り落ちていく。足もとでカシャンと割れたような音がして、画面の光が消えた。
目線をずらすと、首もとに銀色に光る刃物。一瞬なにが起きたのかわからず言葉を失った。
「僕の指示する方向に歩いてください。従ってくれない場合は、わかりますね?」
美都の体を押して、ゆっくり、ゆっくりと駐車場に入っていく。
あの誠実で優しい大須賀が自分にナイフを突きつけている――その事実が信じがたく、なぜこんなことになったのか、状況がまったく理解できなかった。
「大須賀さん……どうして、そんなものを持っていたんですか」
鈍い色をしたナイフに目線を落として恐る恐る尋ねると、大須賀はこれまで発したことのない冷ややかな声で答えた。
「僕が喜咲さんのように真面目な人間じゃないからです。今まで騙していてすみませんでした」
真っ直ぐで爽やかな好青年、警察官の鑑――そんな大須賀のイメージが音を立てて崩れていく。
「どうしてですか? 私に、なにか恨みが?」
好きと言ってくれたのも嘘なのだろうか? 尋ねてみると。
驚いて端末が手から滑り落ちていく。足もとでカシャンと割れたような音がして、画面の光が消えた。
目線をずらすと、首もとに銀色に光る刃物。一瞬なにが起きたのかわからず言葉を失った。
「僕の指示する方向に歩いてください。従ってくれない場合は、わかりますね?」
美都の体を押して、ゆっくり、ゆっくりと駐車場に入っていく。
あの誠実で優しい大須賀が自分にナイフを突きつけている――その事実が信じがたく、なぜこんなことになったのか、状況がまったく理解できなかった。
「大須賀さん……どうして、そんなものを持っていたんですか」
鈍い色をしたナイフに目線を落として恐る恐る尋ねると、大須賀はこれまで発したことのない冷ややかな声で答えた。
「僕が喜咲さんのように真面目な人間じゃないからです。今まで騙していてすみませんでした」
真っ直ぐで爽やかな好青年、警察官の鑑――そんな大須賀のイメージが音を立てて崩れていく。
「どうしてですか? 私に、なにか恨みが?」
好きと言ってくれたのも嘘なのだろうか? 尋ねてみると。