執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「バカ言うな。その男は美都に好意を持っているんだろ? 彼女を犯人に仕立て上げようとしたのも説明がつく。捻じ曲がったストーカー的情愛か、俺との結婚を邪魔したかったのか……。あんなモジュールを作り上げる知能犯があえてバレバレな小細工を仕掛けてきたんだ、俺への挑戦かもな」

いつも通りの上司の判断力に、柳川は安堵の息をつく。

しかし――。

「……美都の手を握ったのは許さねえけどな」

ぼそりと呟かれたひと言に、柳川は人知れずため息をついた。



婚姻届を強引に提出した、翌日。

夕方には大須賀の情報があらかた出揃い、詳しい報告が入った。

「情報管理課第四係所属、大須賀俊介、三十歳。二年前より赤坂庁舎にて勤務。三歳のとき、両親が離婚して母親に引き取られ、その母親も十六歳で死別。その後、妹とも死別しています。大学では情報学を専攻。入庁時の身辺調査ではなにも出ませんでしたが、CITの独自システムで洗い直した結果、極右の団体と関連している可能性が出てきました」

「おあつらえ向きの経歴じゃないか」

柳川の報告に、哉明はニッと口の端を跳ね上げた。

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