執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「気になるのは、母親が生前、死者二名を出した殺人事件に巻き込まれており、聴取の直後に亡くなっています。捜査資料には鎌亀特捜部長の名前が。当時、彼は警視庁に出向していて、捜査一課の上級役職を務めていました」

「死因は?」

「突然死となっていますが、もともと心臓の疾患があったようです。急激な病状の悪化、といったところでしょうか」

鎌亀率いる捜査一課の聴取が、母親の死因に直接的な関係はなかったとしても、大須賀が逆恨みしている可能性は充分にある。

(……聴取時の警察の高圧的な態度、極度のストレスで病状が悪化したと身内なら考えるだろう)

鎌亀を恨む理由としては充分だ。彼が率いるサイバー特別捜査部への挑発行為も説明がつく。

「なお、喜咲美都の警視庁内サーバー作業にも関与。喜咲はリリース前の検閲作業のため、モジュールを一度大須賀に手渡しています。悪意のあるモジュールを仕込んだとすればこのタイミングでしょう」

「あとは証拠だな。大須賀が庁舎内で使用しているPCの調査は?」

「九割完了。証拠自体は見つかっていませんが、不自然な削除履歴を発見。現在復元中です」

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