執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「所轄の検問に引っかかって、その辺にいる犯罪者と同じように裁かれるより、ずっと有意義だろ。俺に捕まえさせろ。お前の無念を晴らしてやる」

「信用できるわけないだろう。お前らはすぐに嘘をつく」

「俺は違う」

堂々とした哉明の態度に、大須賀の心が揺れているのがわかる。

遅かれ早かれ捕まるのだ。だったら少しでもマシな捕まり方を――提案を呑むべきではないか、極限の選択を迫られている。

「……なら、僕からも取引させてくれ」

ごくりと息を呑み刃を握り直すと、哉明を真っ直ぐに見据えた。

「喜咲さんとの離婚、それが条件だ。離婚が確認でき次第、組織の名簿をお前に渡す」

哉明がわずかに目を見開いた。そして美都も。背筋を冷気が駆け抜けていくのを感じる。

(私が哉明さんと離婚すれば、犯罪組織の名簿が手に入る……)

哉明は手柄を立て、今以上に出世できるかもしれない。でも……。

美都は祈るような気持ちで哉明を見つめる。

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