執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
次々と涙がこぼれ落ちてくる。なぜだろう、普段は冷静な顔をしていられるのに、哉明のそばにいるとそれができなくなる。

哉明は小さく吐息を漏らすと、美都の頭を撫でて労わり、そして。

「もう大丈夫だ」

そっと抱き寄せて震える美都を包み込んだ。



聴取を終えたあと、美都は哉明の車に乗せられ実家に帰された。

これから先、哉明は忙しくなるという。自宅に帰れない日が続くかもしれない。

怖ろしい目に遭った美都をひとり家に置いておくわけにはいかないという配慮だ。

世間を騒がせていたクラッカー集団の幹部を検挙。マークしていたもう一名も捕まり、ほか数名の情報も掴めたという。

ここから先はスピード勝負だ。もたもたしていれば犯人たちは証拠の隠滅を図り逃げてしまう。

CITのトップとして、この件が落ち着くまでは捜査本部に常駐するそうだ

加えて大須賀との約束もある。警察庁の膿を出し切り、彼の無念を晴らす――この件と並行して内々に調べを進めていくそうだ。

哉明は美都の両親に顔を合わせてすぐ事情を説明し、深く頭を下げた。

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