執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「美都さんを危険な目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした」

驚く両親。美都は「やめてください」と哉明の顔を上げさせる。

「哉明さんは身を挺して私を守ってくれたんです! わざわざ現場に来てナイフを持った犯人を説得して、危険な目にも――」

両親に向けて必死にフォローしていると、杏樹が「大丈夫よ、美都ちゃん」と笑った。

「哉明さんを責めるつもりなんてないわ。ちゃんと守ってくれたから無事に帰ってこられた、そうよね?」

隼都が姿勢を正し、深く腰を折る。

「娘を守ってくださってありがとうございました」

両親が理解してくれたことに、美都は安堵する。

哉明は照れたようにほんのり目もとを緩めて、再び深く頭を下げた。



その日の夜。杏樹に「その手では体が洗えないでしょう?」と押し切られ、一緒にお風呂に入った。

両手のひらと右膝に耐水性の絆創膏。ひとりでもまったく問題ないのだが、杏樹が妙に張り切っているので髪を洗ってもらった。

「しっかりトリートメントして、女を磨きましょうねえ」

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