執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
相変わらず豊満な胸だ。残念ながら遺伝子が違うので、美都の胸とは似ても似つかない。

「どうしたの? そんなにまじまじ見つめちゃって。最近、お腹が出てきちゃったかしら」

杏樹が心配そうに自身の腹部を撫でる。

「出てないので大丈夫です。胸はきちんと出ていますが……」

予期せず自虐になってしまい落ち込む。無表情になる美都に、杏樹はくすくすと笑みをこぼした。

「そういえば美都ちゃんのお胸、少し大きくなった気がするわね。哉明さんにたくさん愛してもらっているからかしら?」

慌てて胸を押さえて湯船に沈んだ。愛してもらうと胸って大きく育つものなの? 

水面に口を埋めてぶくぶくさせている美都を眺めて、杏樹は「ふふふふ」と実に楽しそうだ。

「美都ちゃん、哉明さんのもとに嫁いで少し変わったわね。さっきも一生懸命、哉明さんを庇っていたでしょう? 今までの美都ちゃんなら、そうはしなかったと思うの」

「……変わったのかどうかはわかりませんが」

美都はおずおずと水面から口を出す。

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