執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「お義母さんが言っていた〝素敵な男性に巡り会えれば幸せになれる〟という意味はわかった気がします。誰にも、なににも興味を示さなかった以前の私を〝もったいない〟と形容していたのも」

杏樹は満足そうに目を細めながら手脚を洗っている。美都の心の変化が心から嬉しかったのだろう。

「それから、誰かのためになにかをしたい、という気持ちも」

「哉明さんのためになにをしてあげたいの?」

「お料理とか、お掃除とか……普通ですけど」

「その普通がと~っても大事なのよ」

シャワーで体を流し終えた杏樹が、バスタブに入ってくる。危うくお湯が流れてしまいそうになったので、美都は姿勢を正して胸もとまで浸かった。

杏樹も同じくらいお湯に浸かっているのに、胸もとの丸みが全然違う。

愛されたらこのくらい大きくなるだろうか……いやいや、都市伝説のようなものだ、真に受けてはいけない。

「それから」

美都が今朝を振り返りながら、ぽつぽつと話し始める。

「今日は髪型を変えてみたんです。アップにしたら、似合っていると言ってもらえて」

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