この結婚は運命ですか?~エリート警視正は清く正しい能面女子に首ったけ~
第九章 たっぷりと時間をかけて


その日の夕食は以前も足を運んだ本格イタリアンレストランに決めた。

気取らないけれど上品で、落ち着いているこの店が美都は気に入っている。

今日もテーブルの中央にマルゲリータのピッツァを置いてふたりで摘まみながら、それぞれパスタを食べている。

美都はポルチーニ茸を使った濃厚なフィットチーネを、哉明はフィットチーネよりさらに太くて食べ応え満点のパッパルデッレのボロネーゼをオーダーした。

「大須賀があらためてサイバー犯罪に関与した疑いで起訴された」

犯罪組織の検挙は進んでいるらしく、大須賀自身も捜査に協力的なようだ。

「大須賀さんの無念は晴らせそうですか?」

「今後の裁判で鎌亀――大須賀を苦しめたキャリア警察官の名前が挙がるだろう。注目度の高い裁判だ、メディアも放ってはおかない」

哉明としても組織の膿を出し切りたいと考えているらしい。被疑者を捕まえて終わりにしないところが彼らしい。

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