執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「俺たちも、内々に鎌亀の不正を調査してるんだ。告発に近い形になるが、メディアに主導権を握られて槍玉に挙がるよりは、自分たちで裁いた方が幾分かマシだと上も考えている。警視総監からもよろしく頼まれたよ。大須賀との因縁は、鎌亀が警視庁の捜査一課を仕切っていたときの負債だからな」

「警視総監って……警視庁のトップの方ですよね? そんな方から頼まれるなんて、哉明さんはすごいですね」

すると、哉明は「美都には言ってなかったか?」と意外そうな顔をした。

「警視総監は、俺の叔父だ。父の弟だよ」

「……へ?」

初耳だ。父は大企業の経営者で、その弟は警視総監――どんなサラブレットだ。

「美都のお義母さんが『娘の恩人を探してほしい』と持ちかけた相手が叔父だったそうだ。それが俺じゃないかって話になって」

「……そうでしたか」

つまり杏樹は、哉明の叔父が警視総監であることも知っていたわけだ。

とんでもない男性を縁談によこしたものだと美都は呆れかえった。

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