執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「あの日は確か、アレンジメントの素敵な花屋さんに案内すると言われて――」

ふと、あの綺麗な花束の画像を思い出す。あれも美都をおびき出すための嘘だったのだろうか。それとも、あのお店はどこか別の場所に実在する?

「……ちょっと哉明さん、今度大須賀さんに聞いてみてくれませんか? あの花屋さんは実在するんですかって」

「いや、そんな気軽に世間話できる場所じゃないからな拘置所は」

「じゃあ、自力で探すしかありませんか。お義母さんへのプレゼントにしようと思っていたんです」

検索機能を駆使すれば見つけ出せるだろうか。あの画像だけでももらっておけばよかったと後悔する。

考え込む美都をよそに、哉明は「そうじゃなくて」と焦れた声をあげた。

「普段からそうやって、ふたりでよく出かけたりしてたのか?」

「いえ。初めてでしたけど」

「……庁舎でも、周囲に隠れてこっそり手を繋いでいたと聞いたが」

「手を……?」

一瞬、なにを言われているのかわからなかったが、しばらく考えて思い出した。

きっと庁舎の休憩スペースで一緒に昼食をとっていたときのアレだ。

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