執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
(そういえば、手を重ねられた直後に柳川さんが来た)

報告されたのかもしれない。もしかして浮気を疑われている?

「哉明さん。それは嫉妬ですか?」

「は? そんなわけないだろ。どう考えても大須賀より俺の方がいい男だ」

虚勢を張っているのが美都にもわかった。

哉明が嫉妬してくれている――その事実が嬉しくて頬がにんまりする。もっと自分に興味を持ってほしいと、ついからかいたくなってしまった。

「でも、もし哉明さんと出会うのがあと少し遅かったら、私は大須賀さんとお付き合いしていたかもしれませんねー」

「は!?」

哉明がガタッと椅子から腰を浮かせる。どうやら冗談で済ませられないほど、本気で嫉妬しているらしい。……意外だ。

焦る哉明の顔がかわいい。

(こんないじわるな気持ちが私の中にあったなんて、初めて知った)

妙な発見をした。でも、そろそろ誤解を解いてやらなければ、少々かわいそうだ。本気で拗ねてしまっても困る。

「冗談ですよ。大須賀さんとはなにもありません。手が重なったのも、たまたまで」

「たまたまぁ!? たまたまで男と手が重なるかよ」

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